【コラム】本人認証による危険性とその対策(2)
前回は本人認証の危険性を具体的に解説いたしました。今回はその対策に関して解説したいと思います。
パスワードリスト攻撃による不正ログインへの対応方策に関し、総務省の「パスワードリスト攻撃による不正ログインへの対応方策について」では、リスト型 攻撃対策集として、攻撃を予防する対策と攻撃による被害の拡大を防ぐ対策がまとめられています。攻撃を予防する対策と、攻撃による被害の拡大を防ぐ対策を以下に記述しますと:
A) リスト型攻撃対策集(攻撃を予防する対策)
A-1. ID・パスワードの使い回しに関する注意 喚起の実施
サービス毎に異なる ID・パスワードを設定するよう利用者に注意喚起する
A-2. パスワードの有効期間設定
パスワードに有効期限を設定し、利用者に定期的に変更させる
A-3. パスワードの履歴の保存
数世代前に使用したパスワードへの変更を認めないようにする
A-4. 二要素認証の導入
ID・パスワード以外の認証要素(ワンタイムパスワード等)を追加する
A- 5. ID・パスワードの適切な保存
サービス運営事業者において暗号化等 ID・パスワードの適切な保存を行う
A-6. 休眠アカウントの廃止
長期間利用実績の無いアカウントをデータも含めて削除する
A-7. 推測が容易なパスワードの利用拒否
パスワードポリシーを定め、推測が容易なパスワードの利用を拒否する
B) リスト型攻撃対策集(攻撃による被害の拡大を防ぐ対策)
B-1. アカウントロックアウト
同一の ID に対して一定の閾値以上の認証エラーが発生した際にアカウントを 一時停止する
B-2. 特定の IP アドレスからの通信の遮断
特定の IP アドレスから閾値以上のログイン要求が発生した際に、当該 IP アド レスからの通信を遮断する
B-3. 普段とは異なる IP アドレスからの通信 の遮断
通常ログインされている IP アドレスとは大きく異なる IP アドレスからのログイン 要求が発生した際に、当該 IP アドレスからの通信を遮断する
B-4. ログイン履歴の表示
ログイン履歴を保存し、利用者がアカウントの利用実績を認識できるように設 定する
まとめますと,,,
防衛上の留意事項(「不正アクセス等状況報告書」)は、インターネットサービス提供者が行う措置と利用者が行う措置に分かれています。また、リスト型攻撃対策集(総務省による)はインターネットサービス提供者が行う措置だけが記載されています。A-4.二要素認証の導入を検討すること、ID・パスワードに関しては、 A-1.パスワードの使い回しの注意、A-2.パスワードの有効期間の設定、A-7.推測が容易なパスワードの 設定に関する対策がそれぞれの共通対策項目となっている。
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