【コラム】e-Discovery - 日本企業に求められるデータガバナンス
以前のメルマガでも”e-Discovery”(電子情報開示)に関して解説させていただきました。
お浚いすると、これはアメリカにおいて訴訟の際に義務付けられている「電子情報開示手続き」を意味します。そういうと途端に、アメリカの法律なら我社には関係ない… という声が聞こえますが、日本企業にも決して無縁な話ではないのです。
では、なぜ日本企業にも影響があるのか?
e-Discovery は、反トラスト法などの訴訟の際に重要になります。日本でいう独占禁止法に当たる反トラスト法は、アメリカでビジネスをする会社、アメリカの企業と取引をする会社、ひいてはドル取引をする会社等々全てが対象になります。アメリカに拠点がない会社も無論対象となります。
e-discovery は訴訟の前に行われるものですが、ここで十分な情報が出せないと、情報隠匿とみなされる可能性があります。罰金が高額になったり、場合によっては禁固刑を言い渡される可能性もあります。実際、2011年には矢崎総業の幹部 4人が禁固刑の判決を受けています。
反トラスト法に関して
この反トラスト法ですが、実は多くの日本企業やアジア企業が多額の罰金を支払っています。
2014年時点では、罰金額トップ20のうち、半分以上の 11社がアジア企業でした。そのうち、6社が日本企業です。米国の企業は 2社のみでした。ちなみに、2位は矢崎工業の 4億7000万ドル、3位はブリヂストンの 4億2500万ドルです。
その他にも、2016年には西川ゴム工業が134億円の罰金を支払っています。数え始めればきりがありませんね。一時期は自動車部品会社が多く上がっていましたが、無論反トラスト法の対象になるのは、それらの業種だけではありません。
なお反トラスト法は「早く訴えた方が有利」となっています。最初に訴えを起こした側に減免措置が適応され有利になるため、競合他社を訴えるケースが多くあります。しかも、高確率で競合の機密情報が入手できたり、相手に高額な罰金を課すことができるため、結果、芋づる式にどんどん訴訟が増えていく傾向にあります。
e-Discoveryとは
e-Discovery は、「訴訟に関連のある電子データ全てを提出」することです。
ここで従業員がデータを削除したり改ざんした場合、禁固刑や通常以上の罰金が課せられる可能性があります。
10年前であれば、企業のデータはサーバに格納されていたため、そこまで手間ではありませんでした。ですが、現在はパソコンやスマートフォン、クラウドアプリ、あるいは外部記憶装置などあらゆるところにデータが分散しています。これを従業員が改ざんしないように広く社内通知し、正しく収集し、指定された形式で提出しなくてはいけません。場合によっては過去数十年分のデータを要求されることもあります。
いつ突然訴訟が起きるかわかりません。日頃から適切なデータ管理を行うことが大切です。また適切なデータ管理は e-discovery だけでなく、コンプライアンス遵守対策などにもつながります。
管理/収集だけでなく、「保全」も必要です。 e-Discovery (電子情報開示要求)の必要が生じた際には、特定のユーザ(あるいはすべてのユーザ)のすべてのアーカイブデータを即座に煩雑な手間を行わなく簡単にe-Discovery要求対応し、且つクリアすることが求められます。
さて、皆様の会社の対応状況はいかがでしょうか?
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